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横収差図の読み方 -- レンズ設計を始める前に

横収差図の読み方

設計者育成のコンサルテーションにあたっていつも繰り返される質問に

『どうしたらレンズ設計をできるようになるのでしょうか?』

というものがあります。 もっともな質問です。

その昔ユークリッドは 『数学に王道なし』 と言ったそうですが、レンズ設計にも王道はないのでしょう。

でも、ちょっと待ってください。

ほとんどの設計課題において、レンズ設計とは

『設計性能のより高い光学パラメータに改善するプロセス』

ですよね。

だとすると設計作業においてもっとも基本的な作業は、その時点の光学性能を正しく把握し、 どんな収差がどのように関連しあっているかを読み取ることではないでしょうか?

それが分かれば、改善手法を検討することができるのでは・・・?

そういった視点から、ここでは幾何光学における収差、とりわけ像のボケ成分を直接表現している 横収差図の読み方・捕らえ方を解説することにします。

実際のところ、収差を読み取れるようになった初級設計者の実務能力は、その直後から格段に向上します。 これは、そう "期待される" ということではなく、私たちが多数のコンサルテーションを行ってきた実績から いえる真実です。

レンズ設計をできるようになりたいあなた。 すぐさま設計オペレーションに没頭するのは得策ではありません。 この記事を良く理解して『レンズパラメータが訴えかける収差の声』を聞けるようになりましょう!

はじめに・・収差ってなんだろう

収差を読み取れるようになるには、まず、『収差ってなんだろう』という素朴なところから始めなくてはなりません。 ここで1分間立ち止まって、あなた自身の収差の定義を思い起こしてください。

・・・ しばし考察

さて、1分たちましたね。 あなたの定義はどんなのものですか?

・ 像のボケ

・ ニジミ

・ 細部がつぶれる現象

そうです。 『収差』というくらいですから、収束の差であることに間違いありません。 上記回答はいずれも、それをイメージしたものになっています。つまり、(1)物点が像点として 写像しないということを表現しているのです。 これ以外も、(2)物体面上の直線が直線に写像せず曲線として写ってしまうとか、(3)物平面が像平面に写像せず 湾曲面に対応してしまう、といった現象も、収差の一形態です。

上記収差は波長によらず生じます。つまり観察対象となる物体が特定の単色光で自己発光していたり、あるいは 照明されていた場合にも認められるものです。ですので、上記一連の収差は単色収差とも総称されます。

単色収差の程度は波長ごとに異なります。つまりレンズの結像特性は波長依存性をもっているのです。このため 白色物体であっても、その像は色ニジミを呈することになります。これは、レンズ材料の屈折率に波長依存性が あることに原因があります。単色収差の波長依存性は色収差と呼ばれます。 レンズによっては事実上、単色収差を 持たないものもありますが、その場合でさえ、焦点距離や像の大きさには波長依存性が認められます。このような 依存性もまた、色収差と呼ばれます。

つまり、無収差レンズというものがあったとすると それは次の特性を示すはずです。

  • 物点を像点として写像できる。      (点→点)
  • 直線物体を直線の像として写像できる。(直線→直線)
  • 物平面を像平面として写像できる。  (平面→平面)
  • 像特性に波長依存性がない。    (色ニジミなし)
光線ファンによる収差の把握

さて、文章ばかりでは辛いので、ここで単レンズの断面図と光路図をみてみましょう。 追跡光線は単色光です。 無収差レンズとはほどとおく明らかな収差が見て取れます。

光路図

・幾何光学的に正しく追跡して得た光路図

光路図

・収差が存在しない理想的な結像の場合

これらの図では、物体を出発した光束を表現するために『多数の光線』を描画しています。 このような表現を "光線ファンの描画" といいます。 英語でファン(FAN)とは扇子のことですが、その骨の張り方との類似性から そう呼ぶのでしょう。

ファン光線の描画状況を見れば、光線の収束状況や程度の概略を掴むことはできますが、その性質をより深く 考察するために、もっと表現力の豊かな作図法が考案されています。 それが横収差図による表現なのです。

横収差図を理解する段取りをメニューにまとめてみました。次の目次をご覧ください。

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