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学会発表

日本地球惑星科学連合2009年大会

"DMDをオカルティングマスクとして利用するカメラ光学系の開発"

○小淵保幸(ジェネシア)、坂野井健(東北大学)、鍵谷将人(東北大学)、武山芸英(ジェネシア)、岡野章一(東北大学)

木星周辺には、その衛星であるイオ起源のプラズマが存在している。このプラズマは木星を中心に トーラス状に分布しており(イオプラズマトーラス;以下IPT)、木星磁場に捕捉され木星磁場と共回転を している。IPT 中のNaは共鳴散乱、S+イオンは電子衝突励起で発光しているが、木星表面やイオ表面からの 太陽反射光に比べ非常に微弱であるため、それら太陽散乱光に起因する迷光が観測対象のS/Nを劣化させている。 そのため、現在行われている観測では木星反射光による散乱光を抑えるために、望遠鏡で木星を追尾し像面 において木星を常に同じ位置に固定し、望遠鏡の焦点面に木星像を隠すフィルターを配置することで、 フィルター以後のコリメート光学系や、結像光学系での散乱を抑えるという方法を取っている。 しかし、観測中にイオは木星に対して動いてしまうため、イオを隠すことはできない。このため、イオ周辺では イオ散乱光によるS/N の劣化は避けられない。この劣化を低減させるためには、隠すべき対象に合わせて位置、 形状が可変なマスクの装着が望まれる。そこで我々は、DMD(Digital micromirror device) をマスクとして 利用するカメラ光学系の開発を行った。DMD は、アレイ状に配置された極小(13 μ m × 13 μ m) の鏡を、 アレイ面に対して± 12 度傾けることによって、入射光を2 次元的に取捨選択することのできるデバイスである。 1024 × 768 個アレイ状に並べられた一枚一枚の鏡を、PC によって独立に制御することが可能である。 これを位置及び形状が可変なマスクとして利用した。これまでに行われた基礎実験により、マスクに入射した光を、 約103?104 程度に減光出来ることが確認され、木星周辺微弱光の観測には十分であることが分かった。 また、木星のみならず、刻々と形を変える水星など内惑星周辺の観測への応用や、その臨機応変性を生かし、 飛翔体に搭載することも期待される。
本カメラの光学設計においては、DMDによるマスキングの際に問題とされるDMD表面での回折光及びDMDの各ミラーの エッジにおける散乱光は、本カメラ光学系の最終レンズの後ろに配置された開口絞りによりブロックされるため、 検出器面上でのS/N低下の原因にはならない。また、最適な硝種の選択及び多数のレンズを用いることによって 色収差も可能な限り補正されている。
本講演では、性能評価を含めたカメラの特性及び観測展望について述べる。

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