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学会発表

日本天文学会2003年春季年会 [N71b]

"極大光度期のR CrBにおける偏光変動:タンジェンシャルな方向へのダスト雲塊放出"

○川端 弘治(国立天文台)、池田 優二(ジェネシア)、秋田谷 洋、 松田 健太郎、関 宗蔵(東北大理)、松村 雅文(香川大教育)

R CrBは水素欠乏、炭素過多の超巨星で、可視で7等以上にも及ぶ不規則な減光を示す変光星である。 この減光は、視線上に放出されたガスの中でダストが大量に生成され、光球を覆い隠すことによるものと一般には理解されている。 しかし、輻射平衡の仮定から得られるダスト生成領域の中心星からの距離が、中心星半径の15倍以上であるのに対して、 観測されている質量放出速度と減光曲線のモデルから導かれる距離は中心星半径の2倍以下と、大きな開きがあり、 R CrB周辺でのダストの生成そのものに関する理解は必ずしも収束している訳ではない(Clayton 1996, Feast et al. 1997など)。

我々は1998年1月から2002年8月にかけて、R CrBの偏光分光観測を行った。極大光度期の偏光は、大多数の観測点においてほぼ一定で、 過去の観測と矛盾無いものであったが、2001年3月と8月の2度にわたり、Δp ~ 0.5 %に達する偏光変動が観測された。 いずれのイベントも2日程度で収束するという突発的なものであった。これだけの偏光変動が極大光度期に観測されたのはこれが初めてである。 この偏光は、タンジェンシャルな方向へのダスト雲塊放出による光散乱の結果であると考えれば、一般的なR CrBの描像と矛盾は無い。 早い収束時間は、ダスト生成イベントが中心星のごく近傍で起こっているというモデルを支持するものである。偏光変動成分の波長依存性からは、 ダストのサイズ(半径)は、最大のもので0.1 μm以上に達すると見積もられる。

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