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学会発表

日本天文学会1998年春季年会 [W14b]

"Solar-B用光学ガラスの放射線耐性試験"

西野 洋平、末松 芳法、木挽 俊彦、一本 潔、常田 佐久(国立天文台)、武山 芸英((株)ジェネシア)

一般に、ガラスに紫外線、放射線を当てると黒化する(透過率が減少)ことが知られている。このため、宇宙環境に置かれるレンズ系は、 放射線に耐性のあるガラス材を用いる、或いは十分なシールドを施す必要がある。ガラス材に放射線耐性を持たせる手法として二酸化セリウム(CeO_{2}) 添加があるが、この場合Ce自身の吸収により450nm以下の波長透過率が極端に悪くなる欠点がある。Solar-B光学望遠鏡の焦点面観測装置にはレンズ系、 フィルターなどガラス材を用いる必要があるため、候補となるガラス材の放射線耐性を調べておく必要がある。 また、Solar-Bでは 390-660nm の範囲での観測を目指しているため、今回Ce添加されていない12種類 (オハラ製S-BAL7;12;41, S-BSM14, S-FPL53, S-PHM52;53, S-LAL7;14;18、溶融石英、ホタル石など)のレンズ材に対し、取り扱いの簡単なγ線照射 による耐性試験を行なった。同様に、搭載予定のリオ・フィルターで用いられる方解石に対しても試験を行ったので、結果を報告する。
ガラス透過率の測定は、γ線照射前と後に天文台・開発実験センターの分光光度計(UV-3100PC)にて 300nm-1100nm の範囲を測定した。 γ線照射は、東大原子力センター大学開放研究室のCo-60 γ線照射施設にて、現在のSolar-B のトータルドーズの予測値 = 1.13 krad/year (3mm アルミシールドを想定した場合、アルミシールドがない場合は2桁近く増加する可能性がある)を元に、トータルドーズ2、4、20、40、1000kradを照射した。 結果をパラメータフィッティングし、吸収率のトータルドーズ依存性などを求めた。主な結果として、(1)溶融石英は1000kradの照射に対しても全く黒化が起きず、 放射線耐性が確認された。(2)試験した溶融石英以外のガラス材は、いずれも放射線耐性がないことが判明した。但し、1krad程度の照射に対してはいずれも 照射による吸収率が非常に小さいので、シールドによりトータルドーズがこの程度に押さえられればレンズ材としての使用可能性がある。 (3)方解石は、今回の試験対象では溶融石英についで、放射線に強いことがわかった。特に450nmより長波長では1000kradまでの照射に対しほとんど黒化が 起きないことがわかった。(4)屈折率の変化は測定精度±5×10-5の範囲で認められなかった。

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